◎ 賃貸住宅からの退去時
(原状回復義務)
損耗分について、敷金から賃貸人が請求できるガイドラインは?
(1) 仲介手数料 (2) 礼金 (家主にお礼として支払うお金)
(3) 敷金 (借りた部屋の修繕費用や家賃滞納などに充てるため家主に預けるお金 家主から見れば、賃借人の債務を担保するためのもの) |
◆ 賃貸住宅の退去時の <貸主> と <借り手> の責任分担 |
↓トラブルになり易い |
国土交通省のガイドライン (H10年3月に原状回復をめぐるガイドライン) |
原状回復
16年2月改定 | 原状回復とは 「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少 のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用 を超えるような使用による損耗等を復旧すること」 ⇒ 原状回復は、 賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化した |
原状回復の費用は賃借人負担。自然損耗、通常の使用による損耗など の修繕費用は賃貸人負担 |
通常の 使用 | 「通常の使用」 の一般的定義は困難なので、賃貸人と賃借人の負担の 考え方を区分して明確化した |
A | 賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの |
B | 賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの |
C | 基本的にはAだが、その後の手入れなど賃借人の管理が悪く、損耗等が 発生または拡大したと考えられるもの |
D | 基本的にはAだが、建物価値を増大させる要素が含まれているもの |
⇒ このうちBとCについては、賃借人に原状回復義務があるとした |
◎ 上記のガイドラインは、あくまで指針であり、法的拘束力はない。 |
(※)借り手とのトラブルを防ぐには、先ず賃貸契約書の見直しが第一歩で、賃貸 契約の退去時 (出口) の問題ではなく、入居時 (入口) の問題と捉える方がベター |
− 消費者の利益を一方的に害する契約は無効となる場合があります − |
国交省が、模範的な契約書のひな型 (賃貸住宅標準契約書) を公表しています |
【判例の見解】賃料を支払って家屋を使用する場合には、通常の生活から生じる家屋の損耗については、賃料によってカバーされているとみられることから、借家人の善管注意義務違反とはならない |
◎ 東京都 平成16年10月に、全国初の賃貸住宅紛争防止条例を施行 |
敷金トラブル、都が指針(負担部分の具体例、条例の内容を表やイラストで) |
(平成16年9月17日 日経新聞) |
家主負担 → カギの取替え、家具でカーペットくぼみ、日照でタタミが変色 |
借主負担 → 風呂・トイレの水あか、カビ、タバコでのタタミの焼け焦げ、引っかきキズ |
◎ 弁護士・司法書士ら平成16年11月にトラブル解消を目指す連絡会発足 |
敷金制度の仕組みを解説した小冊子を配布して、理解を深める |
(平成16年9月22日 日経新聞) |
◎ 大阪府 住宅の敷金・礼金トラブル 防止案策定方針 |
(平成16年10月4日 産経新聞) |
◆ 平成13 年 (2001年) 4月に 「消費者契約法」 施行 |
平成13年4月以降に締結された借家契約は、「消費者契約法」 の適用を受けます |
◎ 消費者契約法 |
「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する契約条項のうち、民法上の信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効とする」 旨の規定が設けられました
重要事項について事実と異なることを告げられ、消費者が事実と誤認した場合には、 契約を取り消すことができると定められています。 (→私学の前納金返還訴訟) 業者は契約解除で発生した損害額を超える違約金を請求できないなどを定めている ★ 改正消費者契約法 (消費者団体訴訟制度) |
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賃貸住宅について、各種の判例や消費者契約法の施行により、
消費者に新たな義務を課す原状回復特約については、より慎重な対応が求められます。
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tel: 06-6681-2144 税理士 服部行男
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